シン仮面ライダー2回目の感想など

1回観てからずっとシンライダーの事考えていたので、今までやった事がなかった「同じ映画を映画館で2回観る」という事をやったら、なぜか見方が減点式になってしまった。
途中まで正直2回目観なきゃ良かったなまで思ったけど、終盤会話が多くなったら急激に満足度が上がって最終的にやっぱ観て良かったなとなった。変な映画。
減点式になってしまったのは多分、特撮ノリみたいなのが自分に合わなかったからだと思う。2回映画館で観るには味が濃すぎる。
1回目は引っかかりがあるシーンがあっても後で消化されるだろうと思って観られるし場面転換ごとに切り替わった場面を楽しんでるうちにまた転換するからストーリーに粗があってもわからない。
2回目は出来事全部に驚ける訳ではないから、アクションがくどいな…とかここ何か話の流れが良くないな…とかここ変でもこの後消化されなかったよな…とかめちゃ回るな…とか思いながら観てしまった。
終盤行って急速に巻き返して満足できたのは何だろうなとずっと思ってたけど、私が庵野の脚本に求めているのがハッタリSFバトルとそれ以上に人間関係滅茶苦茶人間だからではないかという結論になった。
終盤は滅茶苦茶人間関係を解きほぐしに行く場面でもあるので好き（滅茶苦茶人間関係が解決したり改善に向かったりするのが好き（それはそれとして滅茶苦茶なまま破綻するのも良い））。
私が観たかったのは会話劇とかモノローグとかでキャラの心情を掘り下げるようなシーンで、当たり前だけど仮面ライダーなので庵野が撮りたいのは特撮アクションであり、なのにキャラの心理描写は捨てがたい良さがあり、意図された見どころと私が長く観たい所が違ってしまったのかもしれない。
音楽は何回聴いてもカッコよかった。
庵野は劇中で流すレッツゴーライダーは原曲入れたかったけど歌詞が無いのにしましょうって言われたのはそりゃそうよ。歌詞合わないし。
最後3曲まとめて元の歌流したけど、これはなんかすっと聴けた。ロンリー仮面ライダー好き。

以下ネタバレの塊

気分的に一番引っかかりになったのは、本郷が結果的にだけどモブは殺してヒロミや第二バッタオーグを殺さないようになったいた所。
最初の戦闘は自分の意志に反する事、自衛隊員達を元の身体には戻せない事、一文字が洗脳に抗おうとしている事には言及してたから、下級構成員とか大量発生型とかの「殺すしかない状況」「いかに不可逆な状態にされたか」あたりもうちょっと触れてほしかった。
Twitterで公開されたオミットシーンとかも入っててほしかったけど、それ入れてアクション削るのは「仮面ライダー」としては無しなんだろうな。

終盤は作中で一番人間関係が滅茶苦茶だったイチローとの対話のための対決だったので自分的には良かった。
本郷たちは殺しに行った訳ではないから、殺意も無いし示威行為も無い、特撮物としては変わった戦闘シーンだったのかも。
ストーリーが殺陣の格好良さに耽溺できるようできていない。おかしい。
状況としては終盤に向かって切羽詰まっていくが、本郷自身の精神はクモオーグ戦前が一番混乱していてあとは正気に向かっていく感じがする。だったらその前の大量発生型の時もうちょっと葛藤とか…いやどうもこうもない状況だと言われたらそれはそう。
ウルトラマンで襲ってくるのは絶対に価値観の共有できない異星の生命体と兵器だけど、ライダーで対立するのは皆人間だから後味が悪くなる宿命があると思った。
Twitterで見た他の人の感想でもちらほらあったけど、SHOCKERはいわゆる「無敵の人」の集団なんだな。
意識してかしないでか、本郷が「無敵の人」にならないということが結構重要な要素だった気がする。
緑川弘もかなり無敵の人寄りと言うか、自分と他者の境界が危うい方の人だった気がする。
いきなり教え子を改造するんじゃなくて自分がオーグメントになるのが筋ではないか。コウモリおじさんを見習え。見習わなくていいです。

終盤の良かった所のもう一つは一文字なんだけど、一文字隼人のトラウマを見せてくれませんか（悪の組織みたいな言い方しかできない）。
一文字の中身ちゃんと作ってある…？庵野信じて大丈夫……？
続編作りたい気持ちはあるとか言ってたけど、どれくらい現実的なんだろう。やるなら早く撮らないとみんな本格的なおじさんになってアクションが撮れなくなってしまう。
舞台挨拶でペラペラっと仮面世界の話してたけど、あれ原作にあるってことは庵野は基礎教養だと思ってて、ネタバレでも何でもないやるとしたら誰が考えてもこうなるよね程度の話なのかも。
ルリ子はチョウオーグを継承して仮面ライダー3号になったりしないんですか。